大麻取締法違反で逮捕されたら

大麻取締法違反で逮捕されたら

大麻取締法違反で逮捕されたら

捜査段階の手続き

 大麻取締法違反で逮捕されると,仮に逮捕が午前中に行われた場合,翌日には検察庁へ送検されます。
 検察官は,大麻所持の容疑について弁解を聞き,裁判官に勾留請求し,翌日には(もしくは当日),裁判所に身柄が移され,裁判官による勾留質問を受けます。
 大麻取締法違反事件では,多くの場合,10日間の勾留がつき,警察署に身柄が拘束されます。この間の2日間ないし3日間は,家族は逮捕された本人に面会することは出来ません。
 面会が出来るのは弁護士だけです。大麻など薬物事件で逮捕された後,約3日,ご家族との面会も事実上制限されることが多いです。その間,ご家族は事件の詳細もわかりません。大麻取締法違反で逮捕された後,約3日,ご家族との面会も事実上制限されることが多いです。その間,ご家族は事件の詳細もわかりません。なぜ薬物に手を染めたのか,何かの間違いで逮捕されたのか,など不安な気持ちで一杯になります。
 このとき,弁護士であれば,警察官などの立会人なしですぐにでも逮捕された方と接見することができます。時間の制約は原則ありませんので,家族の代わりに弁護士が会い,十分に事情を聴くことができます。中村国際刑事法律事務所では,原則,依頼を受けた当日に弁護士が警察署に急行し,ご本人と接見します。土日祝日に関係なく,逮捕されている人に面会することができます。このため,大麻取締法違反で逮捕された場合,一刻も早く弁護士に依頼することが大切となります。

 10日間捜査した後に,検察官は,勾留を延長するか,起訴するか,不起訴とするかを判断します。ほとんどの薬物事件では,大麻などの薬物を使用しているかの鑑定に時間がかかることから,検察官は勾留の延長を請求します。延長期間は基本的には10日間です。多くの場合,裁判官はこうした検察官の延長請求を認めます。
 結局,大麻などの薬物事件では,逮捕期間・勾留期間を併せて最大23日間,身柄が拘束されると考えてください。
 延長後の勾留期間の最終日に,検察官は起訴するか不起訴とするかを判断し,多くの場合,起訴となります。
 ただし,所持事案等において,所持している物品について,これが大麻であることの認識が認められない場合や,警察によって違法な押収手続がなされるなど,令状主義に反する重大な違法捜査が行われた場合には,検察官は,嫌疑不十分として不起訴とすることがあります。

刑事弁護は何よりもスピードが大事です

 弁護士がご本人に対し,取調べ等での注意点や被疑者に保障された権利などについて一刻も早く面会して教示・指導することが大切です。また,弁護士が本人及びご家族に情報と今後の見通しについて説明し,不安を少しでも取り除くことが大切であると考えております。さらに,勤務先会社に対し,どのような対応をとるべきかについても弁護士がお力になります。

違法捜査の検証,取調べの監視

 大麻取締法違反等の薬物犯罪では,よく捜査の違法性が争われ,多くの裁判例があります。警察は,令状入手段階の任意捜査による証拠収集,職務質問の適法性,薬物の押収や証拠物保全の適法性など,多くの手続を踏んで事件の立件に当たりますが,その中で違法な捜査が行われることも少なくありません。
 例えば,任意での採尿にあって,採尿した紙コップの封印がいい加減であったり,同一性が曖昧であったりして,証拠能力に問題が生じたり,任意同行にあって,違法な有形力が行使されたり,令状入手の疎明資料の中に内容虚偽の捜査報告書があったり,令状を呈示せずに捜索に着手するなど,違法性が疑われる活動が行われることがあります。
 このような違法捜査をチェックするのが弁護士の役目です。令状制度というのは,憲法上の制度であり,国民の基本的人権の保障にとって重要な制度です。弁護士は違法を放置してはならないのです。

職務質問により採尿された場合の捜査の展開

 いきなり逮捕されて勾留に至った場合の手続きは以上のとおりです。
 いきなり逮捕から始まるとは限りません。夜に街中を歩いているときに,警察官から職務質問・所持品検査を受け,所持品から大麻は発見されなかった。しかし,注射器等が見つかって大麻の使用を怪しまれ,警察署まで来て欲しいと要請されて,警察署で任意に採尿手続きがされる場合があります。

採尿に応じたくない!採尿に応じなければいけないのか

 この場合に採尿を拒否すべきかですが,もちろん,任意による手続きであって強制ではないので断ることは出来ます。また,任意同行で警察署まで来たわけですから,いつでも家に帰ることが出来ます。
 ただ,注意しなければいけないのは,採尿を拒んだ場合,他の証拠,例えば,注射器を所持していたとか,前科があるとか,大麻の売人と接触していたのを警察官に目撃されたなどといった証拠資料がある場合,警察は,強制採尿令状を裁判官に請求し,これが認められた場合,強制的に採尿手続きに入ることがあるということです。
 強制採尿手続について警察が,大麻などの薬物を使用している疑いが強いとして強制採尿令状を請求し,これが認められると,数時間で警察は強制採尿令状を入手します。そして,執行のため,対象者を最寄りの病院に連行します。この連行は強制ですので,拒めば身体を拘束されて強制的にパトカーに乗せられ病院に連れて行かれます。これは全くの合法活動です。
 そして,病院では,もし抵抗すれば,医者は対象者をベルト等の拘束具で身体が動かないようにベッドに拘束し,膀胱カテーテルを用いて強制的に陰茎に挿管・採尿され,少し痛い思いをします。
 ですから,このように,状況によっては,素直に任意の採尿に応じた方が少なくとも苦痛を伴わず,結果として良い場合もあります。
 任意,若しくは強制的に採尿された後,尿の簡易鑑定が行われますが,大麻の陽性反応が出たとしても,そこですぐに逮捕という手続きに移らずに,家に帰すのが通常の運用です。
 もはや免許証等で氏名や住所は確認済みなので,逃げてもいずれは捕まってしまいます。このため,家に帰しても逃走しないであろうという考えが警察にはありますし,もちろん,大麻についての尿の簡易鑑定の結果だけでは,逮捕の要件である「犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由」が認められない場合もあります。
 こうして,対象者は,家に帰り,警察からの連絡を待ちます。概ね1週間から2週間位のちに警察から連絡があり,警察署に出頭するよう求められます。尿中に大麻成分が含まれるか否かの正式鑑定にはそれくらいの期間を要するのです。
 仮に,その後自ら警察署に出頭しても,おそらく既に大麻について正式鑑定結果に基づいた逮捕状が出ていますので,そのまま逮捕手続きに入ることになりますし,併せて,家宅捜索も実施さることが考えられます。
 なお,このパターンで逮捕される場合には,既に正式鑑定は逮捕の段階で終了しているので,勾留延長なしに10日間で起訴に至る場合があります。
 このように,状況によっていろいろなパターンが考えられます。いきなり警察が来て,驚いているその一分にも手続きは進んでいます。今自分はどの段階にいるのか? これからどうなるのか? 判断するのは困難です。そのため,刑事事件について知識のある,有能な弁護士に弁護を依頼すべきです。中村国際刑事法律事務所の弁護士は,元検事である弁護士をはじめ,薬物犯罪の経験豊富な弁護士が多数おり,状況に応じた的確なアドバイスをすることができます。不安に思ったら,まずは弁護士に相談してください。

即決裁判手続きに付されるような周到な準備

 自白事件で,かつ,使用事案等の比較的単純な事案では,即決裁判制度が採られる余地があります。この即決裁判制度は,以下のように,被告人にとても有益な制度です。
 即決裁判制度とは,死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる事件以外の事件について,事案が明白であり,かつ,軽微であること,証拠調べが速やかに終わると見込まれること等,この手続きを行うことが相当と認めるとき,被疑者の同意を条件として,検察官が,公判請求と同時に,書面により申し立てることができる制度です。
 公判期日は,起訴後2週間以内に指定されますので,通常事件(起訴後1か月ないし1か月半後)よりはかなり早期に裁判が開かれます。
 判決は原則として公判当日に即決でなされるので,起訴後2週間以内で裁判が終了するのです。
 しかも,懲役または禁錮の言渡しをする場合には必ず執行猶予を付さなければならないという科刑制限があり,安心して裁判に臨むことが出来ます。
 このように,被告人に有益な制度ではありますが,そもそも弁護士がこの制度の存在を知らなかったり,捜査段階で弁護士が十分な準備をしなかったために,検察官が起訴をする際に,弁護士が検察官に即決裁判の申立てをするよう促さず,結局,通常の起訴手続となった場合には,後でこの制度を採ることができないのです。

覚せい剤や麻薬の密輸と冤罪について

 国際的な覚せい剤・麻薬密輸組織はビジネスとして覚せい剤・麻薬などの違法薬物の密輸を行っています。ビジネスですから,彼らは,できるだけコストがかからず,捜査機関による犯罪組織摘発のリスクが少ない方法で違法薬物の密輸を行うのです。航空貨物による覚せい剤や麻薬の密輸のケースにあっては,密輸の事実を承知している者に高額の報酬を約束して受取人となってもらい,その者宛てに違法薬物が隠された航空貨物を空輸することによって密輸を実行することがあります。
 一方で,違法薬物の密輸をしようとしていることを知らない者を騙して,つまり,送られてくるものが覚せい剤や麻薬であることを隠して受取人となることを承諾させ,その者を利用して密輸を実行することもあります。
 そして,前者,即ち,密輸という事情を知っている貨物受取人に対しては,その者が摘発されるという高いリスクを負うことを知っていることから高額な報酬が求められ,それが支払われることが多く,逆に,後者,即ち,違法薬物の密輸の事情を知らない貨物受取人については,リスクに対する認識がないので無報酬ないし低価な報酬で依頼し,引き受けてもらうことができるということになります。
 これは,航空貨物便を利用する密輸に限らず,運び屋が現に違法薬物を日本国内に持ち込んで密輸する場合にもあてはまります。二重底のスーツケース等に覚せい剤や麻薬を隠しておいて,何も事情を知らない者に,中には宝石や骨とう品,化粧品など合法的なものが入っているので,これを日本の友人に送ってくれなどといって騙して依頼するのです。
 こうした依頼を引き受ける者がその二重底自体に気づかない場合,あるいは,二重底の中身が覚せい剤や麻薬などの違法薬物であることを知らないような場合は,依頼人に対して高額な報酬などは要求することはありません。
 ところが,これを知っている場合には,それが発見されれば重罪で長期間刑務所に入るリスクがあることから,依頼人に対し,高額な報酬を要求するでしょう。
 しかも,FBIやDEAのような国際捜査機関が末端関与者に報奨金を支払うことがあり,そのような密輸について知っている関係者であってもそのことを知っているので,報奨金目当てに寝返る可能性が高いのです。また,密輸について知っていた関係者は,逮捕された場合に,捜査機関から寛大な取扱いや刑事免責を受けることと引き換えに,情報を捜査官に提供することがあります。
 こうした諸事情から,国際的な覚せい剤密輸組織は,ビジネスとしてのコスト計算とリスク考量により,組織摘発の危険が少ない方法,即ち,密輸という事情を知らない者を貨物受取人とすることが近時増えています。事情を知らない者であれば,高額な報酬を要求しないばかりか,報奨金目当てに捜査機関に寝返るという心配もなく,また,彼らは組織に関する情報を何も持っていないので,捜査機関に組織についての情報がリークされるというリスクもないのです。
 かくして,何を運んでいるか真実を知らないまま合法なものと信じてスーツケース等を日本に持ち込んだ者が,覚せい剤や麻薬の密輸として摘発され,逮捕・起訴され,10年や15年といった懲役刑判決を受ける冤罪が多発することになるのです。当事務所では,このような冤罪事件で,無罪を勝ち取りました。

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